米上院でCLARITY法案が前進せずも、SEC・CFTCが相次ぎ措置 暗号資産市場は反発
AI マーケットサマリー
上院での手続き上の採決でCLARITY法案の審議前進が否決され、暗号資産は一時的に圧迫されたが、SECが限定的なオンチェーンでのトークン化株式取引を可能にする5年間の条件付き免除を発表し、CFTCがパッシブ取引ソフトウェア提供者向けのノーアクション救済を拡大したことを受けて、センチメントは改善した。これらの措置は、規制当局が既存の権限を通じて段階的な明確化を提供できることを示しており、立法の不確実性が続く中でも、主要銘柄およびDeFi関連トークン全般にわたる短期的なリスク選好を下支えしている。
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【ポイント】
・米上院は9月15日、暗号資産の市場構造を巡るCLARITY法(H.R. 3633)の審議入り動議の採決で賛成が60票に届かず、手続き上の壁に直面した。
・2日後の9月17日、SECはオンチェーンでのトークン化株式取引に向けた「5年間」のイノベーション免除措置を公表。CFTCは受動的ソフトウェア提供者に対するノーアクション方針を示し、独自の暗号資産関連ルールも前進させた。
・ビットコインは一時7.5万ドル近辺まで下押し後、8万ドル台を回復。市場では法案停滞より当局対応の実務的な影響が大きいとの見方が広がった。
米暗号資産市場は9月15日の上院での法案手続き停滞をいったん織り込んだ後、9月17日に米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)が既存権限で相次いで措置を打ち出したことを受け、反発基調を強めた。
上院ではCLARITY法(H.R. 3633)の審議入り(motion to proceed)に関するクロージャー(討論終結)動議が否決され、法案前進に必要な3/5(60票)を確保できなかった。これは最終的な否決ではなく手続き上のつまずきだが、市場は即座に反応し、採決当日にビットコインは日中で3%下落。イーサリアムは4.5%安、ソラナは5.4%安となった。
その後、9月17日の規制当局の発表を受けて市場心理は改善。UNIは45.1%高、RAYは26.7%高、AEROは17.8%高と上昇し、ソラナは6.3%高、イーサリアムは2.3%高となった。
■SEC、トークン化株式の取引枠組みへ「期限付き免除」
SECは9月17日、Tokenized Securities Venues(トークン化証券の取引プラットフォーム)に対し、条件付きの一時的な免除措置を付与した。適格な取引プラットフォームは、一定の制約の下で、許可型の自動マーケットメーカー(AMM)と流動性プールを用いて一部のNational Market System(NMS)株式をトークン化して取引できる。
免除の適用には、取り扱い銘柄数や取引量に上限が設けられるほか、トークン化株式の保有者に対し、同一の伝統的株式と同等の権利・特典を付与することが求められる。スマートコントラクトは公開され、監査可能であり、パブリックなパーミッションレス型分散台帳上にデプロイされている必要がある。
この免除は公表から5年で失効する。ポール・S・アトキンスSEC委員長は、同措置を「法定権限の範囲内」で講じた対応と説明し、委員会が追加対応を検討する間の橋渡しになるとの認識を示した。オンチェーン金融の一部領域にとって、従来より不透明だった規制上のルートが明確化される格好となる。
■CFTC、受動的ソフトウェア提供者にノーアクション方針
同日、CFTCも動いた。市場参加者部門(Market Participants Division)は、一定要件を満たす「受動的ソフトウェア」の提供者に対しノーアクションの立場を表明。登録済みの先物業者や指定契約市場を通じた取引をユーザーに可能にするソフトウェアについて、条件を満たす場合には、紹介ブローカー(introducing broker)または関連者(associated person)としての登録不備を理由に執行を勧告しないとしている。
新法成立を待たずに、別のセグメントでもコンプライアンスの見取り図が一定程度示された形だ。
■CLARITY停滞後に何が変わったか
最大の変化は対応スピードにある。CLARITY法は9月15日に上院で足踏みしたが、9月17日にはSECがトークン化株式取引の暫定ルールを整え、CFTCが受動的ソフトウェア提供者向けのノーアクション枠を拡大した。
もっとも、今回の2つの措置は立法の代替ではない。SECの免除は期限付きで、CFTCの方針も条件付きにとどまる。長期的な包括枠組みが議会で整備されるかどうかは別問題だ。
それでも、両当局が既存の法的権限を用いて狭い論点から先に手当てできることを示した点は、市場にとって材料となった。暗号資産市場は今後、上院で停滞する法案だけでなく、今週提示された当局措置も織り込みながら状況を見極めることになる。
※本稿は情報提供を目的としたもので、法律・金融・投資助言を構成するものではない。