独銀大手が暗号資産取引を一般顧客へ拡大、最大8,000万人に提供へ
AI マーケットサマリー
ドイツの貯蓄銀行および協同組合銀行は、MiCA/BaFinの認可の下でアプリ内暗号資産取引を大規模に展開する計画であり、個人投資家のフローに対する規制下の販売網およびカストディへのアクセスを実質的に拡大する。これを相殺する動きとして、ドイツの内閣は、個人の暗号資産利益に対する1年間の非課税措置を終了させる方向に動いており、税引後の魅力度を低下させる可能性がある。Strategyによる優先配当の原資確保のためのBTC売却は、わずかな供給面のノイズを追加する一方、Swiftの共有台帳とJPMorganのコメントは、許可型ネットワークへの機関投資家のシフトを浮き彫りにしている。
影響度
● 高い
影響を受ける資産
BTC/USDT+0.72%
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● 中立
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今週のブロックチェーン/暗号資産(クリプト)動向をまとめた週間レビュー。
■ドイツの銀行網、アプリ内で暗号資産取引を提供へ(最大8,000万人規模)
ドイツの主要銀行グループが、暗号資産取引を本格的にマス市場へ持ち込む。対象は最大8,000万人の顧客基盤で、約340の貯蓄銀行(Sparkassen)に約5,000万件、約700の協同組合銀行に約3,000万件の顧客関係が含まれる。背景には欧州のMiCA規制がある。
DZ Bankは2025年末にBaFinの承認を得て、2026年初にVRバンキングアプリ内で"meinKrypto"を開始。顧客はビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、カルダノを売買でき、保管はBoerse Stuttgart Digitalを通じて行われる。DekaBankも貯蓄銀行向けに同様のサービスを準備中で、当初はビットコインとイーサリアムに限定する。
方針転換は鮮明だ。2023年時点で貯蓄銀行協会は暗号資産を"極めて投機的"として否定的だった。若年層の獲得競争が姿勢変更を促している。ドイツでは暗号資産について"メインバンクを信頼する"人が38%で、専門プラットフォームを信頼するのは19%にとどまる。提供がなければテック志向の顧客を失いかねないとWesterwald BankのCEO、Ralf Kölbach氏は警告する。
■独政府、暗号資産の"1年保有で非課税"を廃止検討—税率26.375%へ
ドイツでは政策面の議論も続く。財務相Lars Klingbeil(SPD)は、個人の暗号資産売却益に関する現行の税制優遇の撤廃を目指す。これまで所得税法第23条により、保有期間が1年超の場合は利益が全額非課税だった。
新制度では暗号資産を資本所得として扱い、保有期間にかかわらず26.375%で課税する案だ。内閣は今週、この方針を承認した。SPDの税制担当Jens Behrens氏は、暗号資産をコモディティではなく株式や債券と同様に課税上扱うべきだと説明している。
一方、税収見込みは1億ユーロから30億ユーロまで幅があり不確実性が大きい。CDU/CSUはこれまで反対しており、連立合意にも改革は明記されていない。既存の非課税保有分の扱いも焦点で、経過措置(グランドファザリング)の規定がない。施行は早くても2027年以降となる見通し。比較として、スイスでは暗号資産の私的なキャピタルゲインは原則として期限なく非課税で、代わりに年次の資産税が課される。
■Strategy(旧MicroStrategy)、配当原資でビットコインを売却—3,588BTC、約2.16億ドル
米Strategyは今週、ビットコイン3,588BTCを約2.16億ドルで売却した。"Never Sell(絶対に売らない)"方針を撤回して以降で最大の売却となる。Executive ChairmanのMichael Saylor氏は、優先株に伴う月次・四半期配当の支払いが理由だとしている。
年間の配当負担は約17.6億ドルに達し、STRCの配当も12%へ引き上げられた。売却価格の平均は約6万ドルで、取得原価(コストベース)は約75,476ドル。2026年第2四半期には未実現損が約83.2億ドル計上されている。
それでも保有量は843,775BTCと巨額で、総供給量のおよそ4%に相当する。
■JPMorgan、Strategy売却より"許可型ネットワーク"の拡大を警戒
Strategyの大口債権者でもあるJPMorganは、Saylor氏の売却を市場の主要な構造リスクとは見ていない。Managing DirectorのNikolaos Panigirtzoglou氏率いる調査チームは、より大きなリスクとして機関投資家・金融機関が管理型の"permissioned(許可型)"ネットワーク上にブロックチェーン基盤を構築し、イーサリアムのようなパブリックな"permissionless(非許可型)"チェーンを迂回する動きを挙げる。
特に、規模約500億ドルの実世界資産(RWA)トークン化市場が閉鎖的システムへ移行している点を問題視。根拠として、8つの中央銀行が関与するBISのプロジェクト"Agorá"、米決済インフラDTCCのトークン化、FINMA規制下のSIX Digital Exchangeなどを例示した。
■Swift、"Shared Ledger"始動—世界6大陸の大手17行が24時間の国際送金を実証
管理型ネットワークへのシフトを裏づける動きとして、決済大手Swiftは今週、ブロックチェーンベースの"Shared Ledger"を立ち上げた。世界6大陸の大手17行が参加し、トークン化預金(tokenized deposits)を用いたクロスボーダー決済を24時間体制で試験運用する。参加行にはCiti、HSBC、UBS、BNP Paribas、Standard Charteredが含まれる。
技術基盤は、ソフトウェア企業Consensysと開発したHyperledger Besu。ステーブルコインとの差別化も重要で、トークン化預金は規制下の銀行預金残高をデジタル表示したもので、預金保険やKYC確認の枠組みも維持される。UBSのAndreas Kubli氏は、こうした預金を個別金融機関の枠を超えて拡張する鍵は相互運用性だと指摘する。
Swiftは200超の国・地域で11,500以上の金融機関を接続している。競争も進む。JPMorganとBank of Americaが主導する米コンソーシアムがThe Clearing House経由で対抗ネットワークを構築中で、2027年の計画とされる。
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