Storj Labsが米連邦破産法11条を申請 STORJ保有者に"トークン→株式"の道筋提示
AI マーケットサマリー
Storj LabsはChapter 11を申請し、ネットワークとトークン機能は影響を受けないとの主張がある一方で、企業の支払能力、顧客維持、トークン・エコノミクスを巡る不確実性が直ちに高まった。経営陣が提案するトークンから株式への移行スキームは新規性があるものの、債権者の請求に劣後する可能性が高く、裁判所の承認も必要となるため、回収見通しは不透明だ。再編にはValdiの売却と中核となるストレージ事業への再集中が含まれる可能性がある一方で、破綻リスクは利用者およびノードの競合他社への移行を加速させ得る。
影響度
● 高い
影響を受ける資産
STORJ/USDT-17.09%
AI インサイト · STORJ/USDTAI インサイト
▼ 弱気
今すぐ取引
⚠️ AI によって生成されたインサイトはニュースコンテンツに基づくものであり、情報提供のみを目的としています。投資助言を構成するものではなく、BingX の見解を示すものでもありません。投資にはリスクが伴います。責任ある取引を心がけてください。
分散型クラウドストレージ「Storj」を運営するStorj Labsは7月26日、米ウェストバージニア州北部地区連邦破産裁判所に連邦破産法11条(Chapter 11)の適用を申請した。Storjは、ネットワークは通常どおり稼働し、トークン機能にも影響はないと説明。再建後の会社の株式をSTORJトークン保有者が取得できる仕組みを、再建計画に組み込む方針を示した。
この"トークンを株式に交換"する提案は暗号資産業界でも前例がなく、債権者への弁済後に残余価値がどれほど残るかが実現性を左右する。
Storjは2014年設立。ブロックチェーンのインセンティブを活用し、世界中のノード運営者が未使用のHDD容量を提供することで分散型ストレージ網を構築し、Amazon S3など集中型サービスの代替を掲げてきた。利用者は保存容量と帯域の対価をSTORJトークンで支払い、ノード運営者もSTORJで報酬を得る仕組みだ。初期にはGoogle Ventures、Qualcomm Ventures、Techstarsからシード投資を受け、2017年のトークンセールで約3,000万ドルを調達した。
2024年には年間経常収益(ARR)が約3,000万ドルへと7倍に拡大し、従業員は81人。同年、GPUコンピューティング企業Valdiを買収し、ストレージ専業から計算資源のレンタルへと事業領域を広げた。
2025年10月、データ資産化に注力するInveniam Capital Partnersが、逆三角合併を通じてStorjを買収。CEOのColby Winegar氏は続投し、エグゼクティブチェアマンのBen Golub氏はInveniamの取締役会に加わった。買収発表当日、STORJは18%下落。その後1年を待たず、統合後の企業体は破産手続きに入った。
Storjは公開書簡で、破産申請の背景として"レガシー債務"を挙げた。負債の大半は現行戦略以前の事業運営や買収に起因し、事業成長だけでは吸収しきれない規模だったという。現状の運営は合理化した一方、過去の負担は裁判所の監督下での再建によってしか解消できないとした。
再建過程では、過去の取引で取得した非中核事業の売却を進め、分散型ストレージの中核事業へ回帰する方針。売却候補として最も現実味があるのは、2024年7月に買収したValdiとみられる。Valdiは世界で16,000基超のGPUネットワークを提供し、StorjのAI計算領域への拡張の中核だった一方、再建の観点では負債増の一因となった可能性がある。Valdiを手放せば、分散型ストレージへの集中と引き換えに、フルスタック分散クラウドという位置づけは後退する。
公開書簡で最大の注目点は、トークン保有者に株式取得の道筋を提示した点だ。経営陣は、再建後の株式配分にトークン保有者が参加できる仕組みを導入し、経営陣、分散型コミュニティ、トークン保有者、投資家の間で所有構造を再調整する意向を示した。ソフトウェアエンジニアリング部門責任者のKaloyan Raev氏は、確約ではなく"参加の席"と誠実な意思を提供する趣旨にとどめる慎重な表現を用いている。
現時点で、対象条件(スナップショットやロックアップの要否)、配分される株式比率、参加手続きの詳細は未公表。条件は再建手続きの中で定められ、裁判所の承認を要する。
最大の障害は破産法上の優先順位だ。Chapter 11では債権者が株主より優先して弁済を受け、トークン保有者は法的性格として株主に近いと位置づけられやすい。債権者への全額弁済、または合意に基づく弁済が完了して初めて、残余価値がトークン保有者に回る可能性が出る。
暗号資産業界で"トークン→株式"の交換が認められた破産事例はない。約2,200万ドルをICOで調達後に破産した暗号資産マイニング企業Giga Wattを巡るWTT訴訟では、裁判所はユーティリティトークン保有者を会社の構成員とは認めず、株式相当の地位は自動的には発生しないと判断した。FTXの破産は暗号資産の評価手法で先例を残したが、対象は債権者の請求であり、Storjの提案とは性質が異なる。
もう一つの論点は保有集中だ。STORJの総供給量は4億2,500万枚で、このうち約30%(約1億3,000万枚)をStorj Labsが保有している。会社保有分も株式転換の対象となれば、経営側と外部保有者の利害対立が生じ得る。
STORJの価格は足元で約0.06584ドル、時価総額は約2,797万ドル。今回の発表後、過去24時間で11.2%下落した。
分散型ストレージ市場では、Storjは大手に比べ規模が小さい。Filecoinの時価総額は約6億700万ドルとSTORJの約20倍で、ネットワークのストレージ容量は1.8EiB超。2026年初には、Filecoin Virtual Machine(FVM)を通じてデータ修復の自動化、永続更新、ストレージパワーのリキッドステーキングを可能にする「Onchain Cloud」ロードマップを正式始動し、AWSの分散型代替を前面に押し出している。
Arweaveは一括払いによる永続保存モデルで、NFTメタデータやブロックチェーンの履歴状態保存を軸にシェアを拡大してきた。
これに対しStorjの強みは取得速度にある。消失訂正(erasure coding)でファイルを80超のシャードに分割して世界中のノードへ分散し、29シャードが揃えば復元できる設計により、ミリ秒単位の低遅延を実現。動画配信やアプリケーションデータなど"ホットデータ"用途では競争力があるものの、市場シェアはFilecoinに大きく水をあけられている。
再建局面では、不透明感を背景にノード運営者や企業顧客がFilecoinやArweaveへ移行し、ネットワークが弱体化するリスクがある。STORJ保有者にとっては、再建計画に盛り込まれるトークンの株式転換条件と裁判所承認の進捗、会社保有の約30%分をどう扱うか、Valdi売却後の事業が評価を支えられるかが主要な注視点となる。